80年代ラジカセ熱

今まで、健康そのものでしたが寄る年波に勝てず、少しばかりお休みを頂いていました。
その間、これまでのお客様や友人から、ブログ更新求むの声を頂き、感謝しています。
幸い持病にもならず、回復しておりますので今後も頑張りますっ!
と言う事で、この2ヶ月余り仕事が滞ってしまいました。
記事ネタはいくつもあるのですが、印象に残ったものを書いてみます。
さて、昨年末あたりから、何故かラジカセの修理依頼が続いています。
それも80~90年の間に販売されていた物が多く、オークションや中古市場を良く知っている友人より
どうも、静かなブームがあってこの年代に青春や若者期を過ごした年代の方が懐かしくて購入する
ケースが増加しているとの事。
おりしもテープやレコードへの回帰ブームが起こりつつあって、値も上がっている様です。
今回の紹介事案は、80年初頭のSONY CSF-W50と言う小型ラジカセです。
所謂、当事物と言うヤツで、好きな人にはたまらない代物です。


パックリ、いきなり中身の写真です。
ご依頼の内容は、カセットテープが動かないので直して欲しいとの事でした。
いやー、ワクワクしますね、こう言う青春まっさリラジカセは!
何かこう、こちらまで気持ちが若返っちゃって、甘酸っぱい思い出が・・・・
でも、やっぱり清秋時代です。。。そう甘くなかった、少し酸っぱかったです。
中身がしっかりしていれば、駆動ゴムベルトの交換や回転調整などでささっと直してあげられるのですが
メカの老朽化が激しく、ゴム部品は当たり前として樹脂や金属まで、個々に何かしら問題がありました。
当たり前ですね、あの時に青春でも今は中高年ですから、自然にあちらこちらに傷みが発生しますよね。
お客様は、このモデルが余程好きなんでしょう!なんと、本機とは別に4台の部品取り機を同梱してくれま
した・・・熱意に応えねばと気合も入ります。。。

写真は、駆動モーターです。
モータープーリーの先には、経年変化で黒い水飴の様に溶けてしまった、駆動用のゴムベルトです。
専門用語で「加水分解」と言う現象で、10年位でこうなるケースが多いです。
ただ、問題なのはこのゴムではなくてモーター自体です。。
古いモーターでも適度に動作していれば、そんなに傷まずに回転やトルクも出ているんですが、分解した
セットは計5台中4台、Wカセットですからモーターは合計8個。。。殆ど何らかの問題があって何だかんだで
8分の2個を正常化出来ましたので何とかなりましたが、トルク不足・回転不安定など内部の老朽化がある
らしく全滅に近かったです。
バラせるタイプであれば手間は掛かりますが、シールドタイプでバラせない、、、オイルを垂らして復活する
ものもあっても、耐久性には疑問が残ります・・・生え抜きの2個をオイル混入しては排出して軸グリスを含油
軸受けに馴染ませて使用する事にしました。
さあ、まだ大きな問題がありますよ~!

矢印のこれです。。。
このパーツは、駆動モーターからゴムベルトを介してフライホイールを回し、その同軸上にあるキャプスタン
バーと言うテープを走行させる軸を回転させます。(ピンチローラーでテープを押さえてテープを送る部分)
その一方でフライホイールの軸元には、アイドラーと呼ばれる回転部分が接触し、更にPLAYボタンを押され
ると、アイドラーはテープの巻き取り機構と同調してテープ巻上げをします。
このアイドラーにはゴムローラが外周にあって、そのゴムローラーはカチコチに固着してスリップの嵐!!
更にアイドラーに連動する巻取り部はギヤ連動ですが、テープを守る為に一定のトルクでスリップする様に
ギヤにはスリップクラッチが装着してあります。
このトルク管理は、2枚の合わせギヤになっていて中間にはシリコンゴムがあり、その3層をスプリング+外
れ留め樹脂カラー+Cクリップで一体化されています。
その樹脂が割れてしまい、全てがバラバラ。。。ただ組んでも正常には(絶対に)動いてくれません、泣きっ!
あぁ、解説で疲れたので写真です。。


3枚目の写真は、この「樹脂割れ」部分のスプリングが飛び出さない様に押さえ板をモーターマウントに仮装
着して、クラッチトルクが安定するか試した物です。
結局、トルクは出ますが管理が厳しく、据え置きオーディオで無い事を考慮すると、セットを置いて正常動作
しても歩いて鳴らすと、音が震えてしまうなどの現象が起きて上手く行きませんでした。
代替え機を調査するも、こちらも使えそうなものは2個しか再利用出来ず、この2個を使用しマイクロCクリップ
で締結してどうにかなりました。
勿論、アイドラーホイールの外周ゴムは特注品で何とかしましたので、めでたく完成はした次第です。。。

モーターのポジションスイッチ基板、リーフスイッチは、全て端子を磨いて接触不良を無くして装着しました。
メイン基板には、モーター駆動ドライブICやラジオ、アンプなどに部品、パターンの異常は無いもののハンダ
劣化は著しく、何十ポイントと修正・補修しました。
その他、一連のセット内外クリーニング、メカ部のメンテナンス、ラジオやアンプの動作や性能の確認などの
一連機能のチェックや調整をやって組上げる事が出来ました。
今後は、自社で部品を製作出来る様、ミニ旋盤でも導入して樹脂パーツの製作もしたいと思いました。
今回は、試行錯誤も多かった事や体調不良なども手伝って期間を要しましたが、根性があったのは私
ではありません。
この機種に並々ならぬ情熱を以って、代替えセットさえご提供して頂いたお客様自身が本当等は、一番
の辛抱人だったでしょう。
このセットが、末永くお客様のお手元でお客様の生活に潤いをもたらす事を願ったのでした~!!
では、次回まで (^^)/
HTS 北総テクニカルサービス

http://irohatec.web.fc2.com/

にほんブログ村
コメントの投稿
No title
最近ブログの更新がないので心配しておりました。
くれぐれもご無理などなさらないよう、ご自愛ください。
Re: No title
暖かいお言葉、有難うございます!
元々、持病は無かったので突発ですが元気でやっていますよ。
ここのところ、ラジカセファンの方から修理依頼が多くなって来ました。
それに関連して、CDレシーバーなどのパーソナルオーディオも増えていますね。
KさんのU4が元気でいてくれたら私も嬉しいです。